脳頭痛に悩む人は、今や15歳以上の日本人の「3人に1人」、頭痛を自覚する人は年間に4000万人にのぼることが知られています。 生命の危険はありませんが日常生活に支障を来す「一次性頭痛」、何らかの脳の病気が原因で起こる危険な「二次性頭痛」に分類されますが、その診断や治療方法の決定には頭部CT検査や頭部MRI検査が欠かせません。 頭痛を来す代表的は病気を下記にお示しします。
首や頭の周りの筋肉が収縮・緊張することで起こる頭痛です。
「こめかみが締め付けられる」「頭をバンドで締め付けられる」などの訴えが多く、命には別条のない「一次性頭痛」です。
原因 | 肩こり、首の疲れ、眼の疲労、睡眠不足、ストレスなど |
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治療 | 肩こり体操や低周波治療などの理学療法と鎮痛剤や筋緊張改善剤抗不安薬などの薬物療法が主体です。 |
日常生活に支障を来す中等度~重度の脈に合わせてズキンズキンとする頭痛で、多くは片側性で日常的な動作で症状が悪化することを特徴とする「一次性頭痛」です。 キラキラした光・点・線が見えたり、一側の顔・舌・体の一部に始まり同側の半身に拡大するチクチク感、言葉が出にくいなどの前兆を伴うことも珍しくありません。痛み以外には、吐き気や明るい光を辛く感じる「光過敏」、やかましい音を辛く感じる「音過敏」、嫌なにおいを辛く感じる「におい過敏」などを伴います。
原因・誘因 | 血管拡張説や脳の過剰興奮が有力とされています。 ストレス、睡眠障害、気候の変化、月経周期、アルコールなど |
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治療 | 21世紀に入り、日本でも片頭痛治療薬(トリプタン製剤)の使用が可能となりました。予防薬や鎮痛剤との組み合わせで治療することにより、日常生活の質を確保できる時代となりました。 |
数時間程度持続する眼の奥をえぐられるような激しい頭痛で、1日のほぼ同じ時間帯に出現し、この状態が数週から数か月間持続します。頭痛と同側に流涙、結膜充血、鼻詰まり、顔面の発汗など自律神経症状を伴うことも多いようです。
特徴 | 20-40歳代の男性に多く、発作はアルコールなどで誘発されることがあります。 |
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治療 | スマトリプタン皮下注射や純酸素の吸入療法が有効とされます。 |
脳梗塞・脳出血・くも膜下出血を併せて脳卒中と呼びます。
頭痛で発症する脳卒中の代表的な病気は、脳出血・くも膜下出血・脳動脈解離などで、いずれも専門的で迅速な治療が必要となる「二次性頭痛」です。脳卒中の多くは生活習慣病と密接な関わりがあるため、その治療も重要です。
頭を打った後、次のような症状がある場合は受診をお勧めします。
頭蓋内出血や頭蓋骨骨折の評価を行うには、頭部CTが有用です。
子供 | ・普段より元気がない・吐き気がある・意識がない |
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大人 | ・記憶が無くなった・頭痛や吐き気・手足のしびれや脱力 ・打撲後1-2か月の経過で手足の麻痺や認知症症状(もの忘れ) |
めまいやふらつきの訴えは病気の種類や患者様によって様々です。
●天井がぐるぐる回って、眼も開けられない
●起き上がると急にめまいがする
●船で揺られているようなふわふわ感
●まっすぐに歩くことができない
その原因の多くは耳鼻科領域や脳神経外科領域の疾患の可能性が考えられます。
脳神経外科疾患(脳梗塞や脳腫瘍など)が原因の場合、多くは呂律障害や運動麻痺など脳の症状を伴います。
まずは頭部CTや頭部MRIで脳の病気の有無をチェックすることが望ましいでしょう。
聞いたことを理解し、言葉を発する。その繰り返しで会話が成り立ちます。
●何を喋っているか聞きとりにくい(ろれつが回っていない)
●言葉がでない
●言葉が理解できていない
上記のような症状が急に出た場合、脳梗塞や脳出血が疑われます。
頭部CTや頭部MRIで速やかに診断を行い、迅速かつ適切な治療が必要となります。
●片方の手足に力が急に入らなくなった
●箸を上手に使えない、字が上手に書けない
●茶碗やコップを落とす
●歩くときに片方に傾く
上記のような症状の場合、脳梗塞や脳出血が疑われます。
また、その症状が一時で改善した場合も、脳梗塞の前兆といわれる一過性脳虚血発作が疑われます。
頭部CTや頭部MRIで速やかに診断を行い、迅速かつ適切な治療が必要となります。
●片方の手足がしびれる
脳出血や脳梗塞が疑われます。
頭部CTや頭部MRIで速やかに診断を行い、迅速かつ適切な治療が必要となります。
●手の指や肩から腕にかけてしびれる(時に首から肩・腕にかけて痛みを伴う)
●両足がしびれる
脊椎変性疾患(椎間板ヘルニアなど)や脊髄腫瘍の可能性が否定できません。
脊椎/脊髄のCTやMRI検査での診断が必要です。
症状が軽度の場合は、薬物療法やリハビリテーションで改善する可能性もあります。
●ふらふらと安定感を欠く
●まっすぐに歩けない
●歩幅が小さく、よちよち歩きになった
脳出血や脳梗塞、水頭症(脳に水が貯まる)やパーキンソン病などが疑われます。
頭部CTや頭部MRIで速やかに診断を行い、適切な治療が必要となります。
●物が二重に見える
●視力が急に落ちてきた
●視野が狭くなってきた
●片方の眼だけ暗くなり、症状は一時的で改善した
●片方の瞼が落ちてきた
脳の病気が原因で眼の症状を来すことは珍しくありません。
脳腫瘍(下垂体腫瘍など)や脳出血・脳梗塞(一過性脳虚血発作)、脳動脈瘤などが疑われます。
頭部CTや頭部MRIで速やかに診断を行い、迅速かつ適切な治療が必要となります。
院長は日本認知症学会専門医です。
●よく忘れる
●料理などの手順を間違える
●日常生活に手がかかるようになった
●怒りっぽくなった
●やる気がない、何事にも関心を示さない
上記症状では認知症が疑われます。その原因は様々で下記にお示しします。
老人性認知症 | 軽度の認知症で、特に治療の必要性はありません。 |
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血管性認知症 | 脳梗塞や脳出血を繰り返すことで、症状が段階的に進行します。脳梗塞や脳出血の再発予防治療が重要です。 |
アルツハイマー型認知症 | 脳の神経細胞が障害されて発症する認知症です。 その進行を遅らせる治療薬があり、早期発見が重要です。 |
水頭症 | 脳に水(髄液)が貯まる病態で、認知症/歩行障害/尿失禁が代表的な症状です。手術での症状改善が期待でき、いわゆる「治る認知症」の一つです。 |
慢性硬膜下血腫 | 頭部打撲後 数か月で脳の表面に血が貯まる病態で、多くは運動麻痺を呈しますが、認知症を呈する場合も少なくありません。手術での症状改善が期待でき、いわゆる「治る認知症」の一つです。 |
下記に代表的な症状をお示しします。
症状 | 病名 | 原因 |
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片目周囲のピクツキ | 片側顔面けいれん | 脳腫瘍が原因の場合もありますが、多くは脳動脈硬化で蛇行した血管が、顔面神経を圧迫することが原因です。 手術での完治も期待できます。 |
顔の痛み | 三叉神経痛 | 脳腫瘍が原因の場合もありますが、多くは脳動脈硬化で蛇行した血管が、三叉神経を圧迫することが原因です。 手術での完治も期待できます。 |
顔のゆがみ | 顔面神経麻痺 | 中枢性と末梢性があり、中枢性の場合は脳卒中や脳腫瘍が原因となる場合があります。症状に合わせた治療が必要です。 |
頭部CTや頭部MRI検査で原因を特定し、症状に合わせた治療法の選択が必要です。
意識を失う原因は多様です。
脳の障害ではてんかん発作や脳血管障害などが考えられますが、不整脈や自律神経発作など脳以外の病気が原因で起こることもしばしばです。
頭部CTや頭部MRIでの脳検査とともに、心電図や心臓超音波検査が必要となる場合もあります。
てんかんは、脳の異常興奮が原因で、突然起こる意識消失やけいれん発作が特徴です。
通常は数分間で消失しますが、中には重積して脳に重大な障害を残すこともあります。
脳に明らかな異常がなく、幼児期~青少年期に発病する真性てんかんと、脳の病気(脳腫瘍・頭部外傷・脳感染症・脳血管障害・先天奇形など)が原因となる症候性てんかんに分けられます。いずれにしても、頭部MRI検査を行い、病気に応じた治療を行いつつ、発作の予防には生活習慣の改善やきちんとした内服治療が必要となります。
毎日の良くない生活を続けていくと、どんどん体は老化していきます。その状態を放置しておくと、「動脈硬化」が進行し、脳梗塞や心筋梗塞など重篤な病気なだけではなく、将来、肌質の低下や、ED(勃起不全)、透析治療が必要になってしまうことも。
将来、そのならないためにも、健康診断を受けて
・上の血圧が135mmHg以上であったり下の血圧が85mmHg以上であった
・悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪(TG)が高い
・善玉コレステロール(HDL)が高い
・肥満傾向である
・糖尿病の疑い
と言われた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
・問診および診察
・MRIやCTなどの画像検査
・血液検査
・脈波検査(血管年齢測定)
・心電図検査
・胸部レントゲン検査
などをおこないます。
(年に1~2回程度です)
一言で言うと、「動脈硬化」とは血管の老化のことです。私たちの動脈は、若い時には、購入したてのホースのように、プヨプヨと弾力に溢れて柔軟性が有ります。それが、年令を重ね、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や悪い生活習慣が続くと、庭先に放置していたホースのように弾力が無くなり固くなります。こうなってしまうと、動脈が詰まったり、動脈が裂けたりして、さまざまな病気を引き起こすのです。
動脈硬化は、血管の内側を裏打ちしている「内皮細胞」にストレスがかかり傷つくことからはじまります。早い人で30代、普通は40代くらいから、動脈硬化はみられます。内皮細胞は、血液の流れをスムーズにしてくれる働きがある重要な役割を持つ細胞ですが、血圧が高かったり、血糖値が高かったりすると、徐々に内皮細胞にストレスがかかり、お粥のような柔らかい沈着物となってたまっていき、血管の内側にある内膜はどんどん厚くなり内腔が狭くなってきます。この血管の内側が狭く細くなるときは、痛くも痒くもなく、自覚症状はありません。血管の内側が凸凹になり、狭くなると、スムーズであった血液の流れが乱れ、乱流が生じます。そうなると、血液は、手足を怪我した時のようにかさぶたをつくろうとして、血栓を作ってしまいます。そうなると、血流の流れは途絶え、その先に血液内の栄養と酸素を届けることができなくなり、初めて私たちは症状として自覚します。心臓の血管が詰まれば心筋梗塞と呼ばれ急に胸が痛くなったり、脳の血管がつまれば脳梗塞というふうに呼ばれ手足が動かしにくくなったり言葉がしゃべりにくくなったりします。
「テレビで昨日見た俳優さんの名前を思い出せない。物忘れが多く不安」「大事なものをどこにしまったか忘れてしまう。若年性の認知症ではないか」「漢字が書けないことが多い。自分はボケてしまったのでは……」などなど、物忘れ症状を自覚する人は多いのではないでしょうか?
でも、ご安心ください。このような症状は全てよくある「物忘れ」であり、認知症とは全く別のものとして区別されます。よくある物忘れは、年齢を重ねていくとどうしても出現してくるもの。現代は情報量が非常に多く、記憶機能を持った機械の多い便利な世の中なので、脳機能を使わなくなったことによる物忘れも増えているようです。一昔前なら自分の家の電話番号は誰もが覚えていたと思いますが、最近は自分の携帯番号を覚えていない人が増えているのも、その一例です。
しかし、2015年1月、厚生労働省は7日、全国で認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表しました。65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症と診断されるということになります。
認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されており、約10年で1.5倍にも増える見通しなので、物忘れが心配になった時は、一度、当院を受診されることをおすすめします。
・問診および診察
・MRIやCTなどの画像検査
・血液検査
・心電図検査
などを、当日に行います。
もしご家族やご友人に気になる症状があり、下記の症状がその人に当てはまると思った場合は、その方の受診をおすすめします。
●出来事の全部を忘れる
●料理の調味料を間違えたり判断力が低下する
●物忘れをしてしまったという自覚がない
●時間や季節の感覚が乏しくなる
●作り話をする
●日常生活が一人だと不安だ
など